ビデオデッキが初めて自宅にきたのは1980年代だったと思う。それまではテレビはその場で見るもので、見逃せばおしまいだった。だから、兄弟でチャンネル争いが起きたものだが、ビデオの登場はそうしたあれこれをいっぺんになくしてしまう優れた電化製品だった。それまではアニメの主題歌や好きなアイドルの歌を覚えるために、テレビとカセットデッキをくっつけて録音したものだった。それが映像もいっぺんに撮れるようになったことも画期的だった。
ビデオの普及でレンタルビデオ店が流行した。映画やドラマ、アダルトものなど、老若男女が自宅で手軽にさまざまな映像を楽しめるようになった。レンタルレコード屋さんが次々にレンタルビデオ屋さんに変わっていったものだった。ビデオのおかげで映画スターの価値はずいぶん下がった気もする。それまでは映画館でしか見られない銀幕のスターが、いつでも家庭のテレビで見ることができるようになった。
テレビタレントと同じ枠に収まってしまったような気がした。 そのビデオもいまや家庭内ではずいぶん立場が弱くなった。DVDに続き、ハードディスク録画など、ビデオよりも画質にすぐれ、長時間録画でき、何度上書きしても劣化しない新しい機器の登場でビデオが家庭から消え去ろうとしている。あれだけ画期的であっという間にほとんどの家庭に普及したビデオデッキの寿命は当時からは想像できないほど、短かったといえる。ということは、現在、各家庭に普及しているDVD、ブルーレイ、ハードディスクなどもやがて、新しい機器にその場所を奪われてしまう運命なのかもしれない。